【怪人二十面相】懐かしさだけでないカタルシス

怪人二十面相

1.『怪人二十面相』を含む私の読書遍歴

私は子供の頃から本を読むのが好きな少年でした。

その読書遍歴は松本清張作品、森村誠一作品・・・など、いわゆる推理小説がメインでした。

そして、最近では名探偵コナンを観るのが楽しみです。

そんな私が最初にのめり込んだのが、児童向け推理小説で、日本を代表する推理作家である江戸川乱歩えどがわらんぽが手がけた「少年探偵」シリーズです。

誰にでも変装することができる怪盗(小説内では“盗賊”と称されている)怪人二十面相と名探偵:明智小五郎との対決を描いたシリーズ全26作です。

宝石や美術品を盗み出す魔法(トリック)もさることながら、最初は他人への変装だけだった二十面相もシリーズを重ねるごとに、

・透明人間
・鉄人Q
・魔人ゴング
・電人M
・黄金豹(ひょう)

などあらゆるものに姿を変えていくストーリーに子供だった私はワクワクが止まりませんでした。

今回は、あの時のワクワクが今でも味わえるのか?という思いから、シリーズ第1作目である『怪人二十面相』を図書館で借りてきました。

下の写真は今回借りた『怪人二十面相』の表紙絵ですが、私が幼い時に読んでいた絵とは違っています。

怪人二十面相

昔の表紙絵が見たい方は、以下のWebページの「ポプラ文庫クラシックシリーズ」という欄で思い出に浸ってください。

参考元:ポプラ社 「少年探偵団」ワールド・クロニクル!


1億人のベストセラー!江戸川乱歩「少年探偵団」シリーズのすべてを一挙公開!

さて、話は逸れますが、怪盗といって有名なのがアルセーヌ=ルパン(※1)ですが、この『怪人二十面相』の中でも明智担当の助手である小林芳雄少年の言葉として

「先年、フランスの怪盗アルセーヌ=ルパンのやつを、(明智)先生がこの手(手段)で、ひどいめにあわせてやったことがあるんです。」

という一節が出てきます。

また、二十面相が明智小五郎に対して「(君の行動は)シャーロック=ホームズにだってできない芸当です。」と言っている場面もあります。

※1:

私はテレビアニメ「ルパン三世」も好きですが、好きなのは1stシーズン(またはPart1)と「カリオストロの城」です。

つまり、ルパン三世が緑色のジャケットを着ている作品です。

赤色のジャケットのルパン三世はあまり好きになれません。

最近のルパン三世は青色のジャケットですね。

また、コナンとの共演アニメもいくつかありますね。

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2.「名探偵コナン」と「少年探偵」シリーズ

高校生探偵である工藤新一が黒ずくめの組織から毒薬:オポトキシン4869を飲まされて身体が小さくなった後に、毛利蘭から名前を聞かれてとっさに答えたのが「江戸川コナン」。

これは、江戸川乱歩の“江戸川”とシャーロック・ホームズの生みの親であるコナン・ドイルの“コナン”からとったことは映画版「名探偵コナン」冒頭でのお馴染みのシーンです。

ちなみに、江戸川乱歩もペンネームで世界初の推理小説と言われる「モルグ街の殺人」を書いたアメリカの作家エドガー・アラン・ポーをもじっています。(これも有名な話です。)

小林芳雄少年を団長としている少年探偵団やBDバッジは「名探偵コナン」にも出てきます。

また、少年探偵団が持っている「探偵七つ道具」も時代に合わせて機能が半端ない物になっているものの、コナンが阿笠博士に作ってもらっている道具に通じるものがあります。

小林芳雄少年が「探偵七つ道具」の1つとしている伝書鳩の「ピッポちゃん」も、怪盗キッドが鳩を操ることのヒントになっているのではないかと勘ぐってしまいます。

そして、この怪盗キッドの美術品などを盗む手口こそが怪人二十面相の手口そのものです。

私の思い入れもありますが、「少年探偵」シリーズを読んだ者としては、「名探偵コナン」は心をくすぐられる内容が満載なのです。

(もちろん「名探偵コナン」の作者:青山剛昌先生は、海外も含めたその他多くの推理小説にも精通されていると思います。)

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3.『怪人二十面相』を読んで・・・

さて、図書館で借りた『怪人二十面相』を読みふけりました。

『怪人二十面相』は1936年(※2)に書かれた小説であり、時代背景が現代とは違っていることも多く、何より読者である私が大人になっています。

それ故に、途切れることなく繰り広げられるトリック合戦のタネを見破ることはさすがに容易ではあるものの、小説全体に流れる疾走感や緊迫感は子供の時に感じたそのままでした。

怪人二十面相に関しては

・2008年に映画として「Kー20(TWENTY)怪人二十面相・伝」

・最近もテレビドラマ「名探偵・明智小五郎」でのファントム20

として描かれてきましたが、いずれも今回『怪人二十面相』を読んだ時のような ある種のカタルシス(※3)は感じなかったです。

そう感じない理由として、『怪人二十面相』を読み返すまでは、単なるノスタルジー(※4)の有無が原因だろうと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。

注:以下、ちょっと興奮気味で、若干ながら大げさな表現が含まれています。

小説『怪人二十面相』は今読んでも、映画やドラマにはなかった痛快さを感じました。

先ほども書きましたように大人になった私には「こうなるんだろう。」「こいつが二十面相だ!」という推察は容易にできます。

でも、なぜかそれが分かっていても興奮して読み進めてしまう自分がいます。

そして、気分がスーッとして爽快になっている自分がいます。

これこそ、カタルシスではないか、と思える瞬間が幾度となくあるのです。

江戸川乱歩が児童向けに書いた小説と知りながら、大人になった私をも満足させる何かがそこにあります。

それは持って生まれた私の性(さが)をくすぐる何かなのでしょうか?

ちょっと冷静を取り戻しながら・・・

改めて、あと25作品残っている「少年探偵」シリーズを時間を見つけて読んでみようと思います。

(「名探偵コナン」もです。)

※2:小説の中に“十円札”という言葉が出てきて、これが注釈では“現在の約二万円”と書かれています。
『怪人二十面相』はこういった時代背景で書かれています。

※3:カタルシスという言葉は、「心の中に溜まっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化されること」を意味します。

参考元:三省堂 辞書ウェブ編集部 Dictionaries & Beyond |三省堂 WORD-WISE WEB 「三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺」
10分でわかるカタカナ語 第36回 カタルシス

※4:ノスタルジーとは、フランス語で「過ぎ去った時間や時代、ふるさとを懐かしむ気持ち」という意味です。

参考元:意味解説ノート > カタカナ語 > 「ノスタルジー」とは?意味を解説!「ノスタルジー」とは?意味を解説!

 

まとめ

こんな私的な記事に、まとめなんていうものが あろうはずがありません。

現在ミュージシャンとして活躍している多くの人がKISSに影響を受けたことがあるように、

『怪人二十面相』は、本好きの人なら必ず一度は通ったことがある道だと私は勝手にそう思っています。

勝手にそう思っている私を、あなたはそこらへんの片隅に放っておいていいです。

私にとっての『怪人二十面相』にあたるものは、あなたにとっては何ですか?

何か子供時代に熱中したもの、生まれ持った自分の性(さが)に直接訴えかけるものを改めて見たり聴いたりしてみてはどうでしょうか?

今、社会人として働いている多くの人が、日頃の鬱積(うっせき)した感情を解放することができて、気持ちがスーッとなれるものがあればなぁ・・・と思う今日この頃です。

おわり