会社で仕事をしていても、周りのことが気になります。
自分のパソコン画面を見ていても
周りに機嫌が悪い人がいると気になって、自分まで嫌な気持ちになります。
同じように、焦っている人がいると自分までヒヤヒヤします。
見ていなくても、近づいてきている足音で誰なのかが大体分かります。
誰かが席から離れた、席に戻ってきた、
いつもと違うルートを歩いている、
なぜだか、そんなことが頭にインプットされてしまいます。
あの人の椅子にかけてある上着が落ちそうになっている。
離れたところの電話が鳴っているのに、誰もとる様子がない。
このようにいつも頭の中がフル回転状態です。
◇
なので、そんな状態を避けるために、できるだけ人のいない場所を見つけて仕事をするようにしています。
使っていない会議室や大勢から離れたコーナーなどです。
◇
◇
また、先々のことまで考えてしまいます。
いろいろなことを予測してしまうため、他の人以上に準備をします。
慎重すぎるくらいに考えて行動しているので、失敗は少ないと思うのですが、何より気疲れが激しいです。
◇
◇
会社以外でも、いろいろなことが気になります。
外食していると、今お店に入ってきたあの人はあそこの席に座るだろう、と予測する癖がついています。
電車などで座っていると隣の人との距離感が気になります。
街中で人とすれ違う時に、その人のことをすごく観察してしまいます。
なんか企んでいそうな人に見えると、目を合わせないように努力します。
◇
◇
自宅に帰ってひとりになると一旦ホッとします。
他人といるより自分だけでいる方が、何百倍も楽です。
その他人が家族であってもです。
◇
ただ、自宅にいても、休まることばかりではありません。
外を走る車の音を耳で追っていたり、車のドアの開閉音にびっくりすることもあります。
今日の自分の行動を思い出して、
頭の中で今日の出来事を回想することもあります。
◇
また、何かあるとすぐに病気じゃないかぁと気になって、よくかかりつけ医のところに通院します。
その度によく言われます。
って・・・
◇
◇
そんな私は本屋に行くのが好きで、その日もいつも通り本屋で「なんか気になる本はないかなぁ。」と本棚を見て回っていると、
「敏感すぎて・・・」「敏感すぎる・・・」という本が並んでいる本棚を見つけました。
「なんやろ、この本?」って手に取った本の帯に書いていた文章読んで、初めて「HSP」という言葉を知りました。
HSPって何?
「HSP」とは、「Highly Sensitive Person」の略で、アメリカの心理学者であるエレイン・アーロン博士が1996年に提唱した概念です。
非常に感受性が高く、デリケートで繊細で、ちょっとした雰囲気(目で見える物、音(人の声)、匂いなど五感に関するもの)の変化も敏感に感じ取れる気質を持っている人です。
「繊細すぎる人」「人一倍敏感な人」などのように訳されることが多いです。
勘違いしている人もいるのですが、「HSP」は病気でも何でもありません。
「HSP」は正常な特性(気質)です。
この特性(気質)を持つ人は、全人口の15〜20%にものぼると言われています。
HSPの人ってどんな人?
前章に書いた通り「HSP」の人は、五感の感覚が鋭い人です。
そのため、相手の感情やその場の雰囲気を読むのが容易です。
容易というよりも、自然と察知してしまうと言った方が正解になります。
「HSP」の人は、自分が好むか好まざるかに関係なく、周りの状況が全てインプットされてしまうのです。
それゆえに、周囲に気を使い「人といると疲れる」という悩みを抱えることになります。
身体は疲れていなくても、頭が疲れ果ててしまうのです。
また、対人に振り回されるだけでなく、匂いや音にも敏感なので環境自体にも悩まされることがあります。
しかし、こうした「HSP」だからこそ、誰も気づかない違和感を感じ取り、物事をより良く変えることができます。
「HSP」の人には、共通する5つの優れた能力があります。
・感じる力
例)相手のニーズを感じ取り、細やかにケアする。・考える力
例)当たり前になっていることに疑問を抱き、改善する。・味わう力
例)「いいもの」を受け取り、深く味わい、絵や写真や音楽などで出力する・良心の力
例)自分の納得と相手への誠実さを両立させて、大きな力を発揮する。・直感の力
例)ものごとの本質にたどりつく。出展元:『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』第5章より
武田友紀さん著 発行所:株式会社 飛鳥新社
HSPの人はどうしたらいいの?
まず、自分と同じような気質(感覚)の持ち主が全人口の15〜20%もの割合でいるということ、自分だけではないんだということを頭においてみてください。
それだけで今までのつらさがなくなるわけではありませんが、自分だけではないと思うことでちょっとは気がラクになれるかもしれません。
◇
次に、そんな自分のことをもっと知るために、「HSP」に関する本や情報に触れてみてください。
2018年の後半くらいから、「HSP」について書かれた本が多く出版されるようになっており、そのいくつかは図書館にも置かれてあります。
(図書館の貯蔵書検索パソコンにて「HSP」で検索すると、それらしい本が何冊かヒットすると思います。)
近くの図書館で置いていない場合は、本屋で立ち読みするのもよいでしょう。
本の表紙や帯部分に「HSP」の文字がある本が集められたコーナーがあったりします。
そしてその巻頭や目次などを見て「あっ、これ私のことだ。」と思える文章に出会えれば、そのページ付近をさーっと読み流してみてください。
もし、もっとじっくり読みたいと思うのなら、その本の購入を考えても良いでしょう。
ただ、本の中には「HSP」のネガティブ面が強調されすぎて書いてあるものもあります。
購入の前には、本の中で「HSP」の対処法などが書かれたページなどもパラパラ斜め読みしてみてください。
斜め読みして、自分にしっくりくる本=自分の気分が良くなる本であることを確認してから、購入するようにしたらどうでしょうか。
私が購入してしまった本の中でも、読んでいくと気分が良くなるどころか重い気持ちになり、途中で読むのをやめてしまった本もあります。
自分の気分に合わない本は、逆効果になりますので、逆に自分からは遠ざけてください。
◇
最後に、読んだ本や情報を参考にして、自分の居場所を探してみてください。
居場所といっても、物理的な場所という意味もあれば、気持ちの置き場所という意味もあります。
職場の中でも、自分ひとりになれる場所。
周りに人がいても、ノイズキャンセラーヘッドフォンをつけている状態。
「自分はHSPだから今こう感じているんだな。」という風に、客観的に自分を見ることができている状態。
などなど
人によって自分の居場所を作る方法は様々だと思います。
前章で書いたように「HSP」の人は非HSPの人よりも優れた面を持っています。
「HSP」の人は自分なりの居場所を見つけることができれば、優れた能力を存分に発揮することができます。
自分の居場所を作るということに対しては、
逃げるという感覚ではなく、あくまでも自分の能力を最大限に発揮できる場所を自ら選ぶという感覚の方が良いと思います。
受け身ではなく、自ら選択するということです。
まとめ
「HSP」とは、「繊細すぎる人」「人一倍敏感な人」
「HSP」の人は、全人口の15〜20%にものぼります
「HSP」の人には、共通する5つの優れた能力があります
その優れた能力を発揮するために
自らの意思で自分の居場所を確保しよう
おわり